2020年3月11日水曜日

海を想う

こんにちは。担当の乃森です。
まずはこちらから。

==本日のりんご=========
・無袋ふじ
・シナノゴールド
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朝から弱い雨が降っています。気温は少し高めとはいえ
時折吹く強い風に当たると、体が縮むような寒さも感じます。
まだ冬の残香漂う三月。9年前は雪が降っていました。

ではお店の様子です。
あいにくの天候で入荷もそれほど多くはないようです。

豆類は少し数が減りましたでしょうか。
乾物に挟まれるかたちで、一袋だけですが卵も並んでいます。


葉物野菜も継続して並ぶようになってきました。
春菊や水菜なども並んでいますね。


ここしばらく毎日のようにアサツキも並ぶようになってきました。
アサツキは汁物などでもおいしいですが、
シンプルな味付けにしてパスタなどにもよく合いますね。


お米も並んでいます。


つや姫の隣にはりんごが並びます。


こちらはバラ詰めのりんごです。


西洋梨もわずかですが出ています。


袋入りも入荷は少ないですね。


さて、昨日ご紹介した勝手にカレーフェアの「引力カレー」です。
陳列に若干の変更が加えられているようです。
本日も眩しく輝いています。


冷凍の品物を覗いてみましょう。
こちらには「金華鯖」が並んでいます。


宮城県石巻市の太平洋に浮かぶ島、金華山。
その周辺海域で獲れる脂乗りのよい大型のサバが金華鯖と呼ばれます。
こちらの商品も石巻からやってきた商品です。

9年前の震災では石巻市も甚大な被害に見舞われ、
主要産業の漁業も大きな打撃を受けました。
しかし、その地に生きる人たちのたゆまぬ努力、
復興はいまだ道半ばというところでしょうが、
海とともに生きてきた町はやはり海とともに生きていく
ということをこの商品が力強く示してくれているようにも思えます。
多くのものを奪い去った海ですが、
それでも海を想い生きていくのでしょう。

海とともに生きてきた酒蔵があります。
福島県浪江町の海岸近くで「磐城壽」という力強い酒を醸してきた酒蔵です。


9年前、この酒蔵は巨大な津波に襲われ全蔵が流失、
突如として酒造の道を断たれることとなりました。
そこにさらに追い打ちをかけたのが福島第一原発の事故でした。
原発からこの酒蔵への直線距離はわずか7km。
全壊した蔵を目の前にして近づくことすら許されませんでした。

その酒蔵が再出発の地として選んだのが山形県の長井市です。
山形の山間部にあって、それでも「海の男酒」と銘打ち
「磐城壽」を醸し続けています。
そして長井市の酒蔵が元々製造していたものを継承したものが
画像にある「一生幸福」です。
その名前が示すようにあの大きな厄災を乗り越えてきた
作り手たちの思いが詰まった歓びの祝い酒です。

9年前のあの時は日本中が「絆」という言葉の下に、
とてつもない困難に立ち向かい結束を見たかのように思えました。
「これで日本は変わる」と多くの人が思ったことでしょう。
しかし実際には西日本と東日本では大きな意識の差が存在していたことも
確かですし、原発論争なども含め分断を生んでいたことも事実です。
9年が経った現在では「原発事故」すらなかったことにされている感は否めません。
それでもあの出来事があって誰しもが初めに感じた思いは、
もっと切実で純粋だったはずです。
どこにもぶつけようがない、不安、悲しみ、怒りが渦巻く中にあっても、
小さな純粋な命への思いは確実にあったはずです。

今日本はあの時とは違った形の災禍の中にいます。
経済活動も鈍る中、出口の見えない日々が続き、不安と恐怖にさいなまれています。
9年前の出来事とは全く質が異なりますが、
あの時に感じた思いをもう一度思い返してみましょう。
多くの人が「奪い合うのではなく分け合っていた」光景が思い出されるでしょう。

2時46分。
本日は多くの人が命を想い、海を想い祈りを捧げます。
私も微力ながら遠く海を想います。

お待ちしております。