2018年12月28日金曜日

寒波への手紙 二通目

前略、寒波君。担当の乃森だ。
まずはこちらから。

==本日のりんご==========
・無袋ふじ
・シナノゴールド
・はるか
===================

君がまた来るんじゃないかと、
噂では聞いていたからね、
今回はそんなに驚きはしなかったが、
どうしたんだい?連れ合いの「ゆき」さんの機嫌が
ばかに悪いようじゃないか。


君の事だから、また変な屁理屈でも押し付けて、
機嫌を損ねたんじゃないのかい。


今年の終わりも近いが、
僕は相変わらずのりんご売りさ。




やはり君が来ると、どうもよくない。
見たまえ。君のお陰で、野菜たちなどこんな有様だ。




それに今回は、肝心のりんごも少ないときてる。
さらに君が来るとお客の足もどうも鈍くなる。


それでも文句ばかり垂れていたところで、
僕のお腹も膨れないし、財布の中身も増えやしない。
そこでと、熊本からみかんなんぞ取り寄せてはみたが、
君もひとつ試してはどうかね。
評判も上々だ。

今回はしばらく長くいるそうじゃないか。
その間に「ゆき」さんの機嫌も直ってくれるといいのだがね。

さて、君とゆっくり話でもできればいいのだが、
僕はこう見えても忙しい身の上でね。
りんごばかり売っているというわけでもないんだ。
これからちょっと一仕事せねばならぬ。

そういえば、君の知り合いに「冬将軍」というものがあるそうじゃないか。
到底本名とは思えないが、「将軍」とはずいぶんと気取った人物のようだね。
もし気が向いたら、その「冬将軍」とやらも連れて来たまえ。
手放しで歓迎できない予感もするのだがね。

ではまたいずれ会おう。